日本の障害福祉事業の実態:「利用者の生存は支えるが、利用者の人間らしい生活は支えない」という障がい者支援に疑問を抱き、今もなお、改善提案し続けている。
2006年、海外で実践されている自閉症の障害特性に合った専門的な支援(TEACCH)を事業所に取り入れ、自閉症利用者の取り巻く環境が整理され、当事者の行動が安定する。保護者の事業所への期待も大きく変化、内に向いていた事業所全体に風穴を開けた。
しかし、2014年、事業方針変化に伴い、実践してきた支援を継続出来ない状況に自らの限界を感じる。当時の生活の延長上に自分の求める世界はないと考え、2017年から2年半に渡って、青年海外協力隊員として発展途上国の南アフリカへ。
電気・水・ネットなど、インフラの整っていない地域、ザナニ村で、平屋に住む母子家族3人(1人は障がい者)とホームステイ生活を始める。毎日、水汲み場から一日の生活水を汲み、たらいで沐浴の日々。日中は90名程度の障害児者が通うデイケアセンターでボランティア業務に励み、身体・知的障碍児・者のケアや生活支援スタッフへの技術移転などを行う。その経験から日本で喪失した自信を取り戻す。2019年、デイケアセンターから草の根基金(1000万円の基金)を申請。250件以上の南アフリカ事業所の申請の中から勝ち残り、バリアフリー工事で建物を改修、現地新聞にも掲載される。2019年、アフリカ最高峰のキリマンジャロ登頂を成功。
2020年アフリカから帰国後、茨城県にある精神障がい者の自立の為のグループホームで働く。勤務地と居住地は市の面積の40%が田園風景の拡がるのどかなつくばみらい市。 「誰もしないなら私がする」を信念に、傷ついた人々に光をあて、居場所を作りたいと考えている。
大兼政友介